なぜ発症するのか

きっかけはさまざま
うつ病は診断基準に該当する症状がほとんど一日中続き、それが二週間以上続くことによって、仕事や家庭などに何らかの問題が生じた場合にうつ病だと診断されます。発症する原因やメカニズムに関しては全てが解明されているわけではありません。しかし、関係しているとされるいくつかの原因があり、そのひとつが性格的なことです。これは、なりやすい性格があるという考え方で、きちんとルールを厳守し、几帳面でまじめな性格、自分に厳しく責任感が強いため完ぺき主義であるなどがあげられています。加えて、他人との摩擦を避ける傾向にあり、他人に尽くすクセがあります。うつ病は、いわば心のエネルギーを使い果たした状態です。前述したような性格の人は、いつも心のエネルギーを多く使ってしまうので、気づいたときには全てを使い果たしてしまっているということもあります。また、環境的なものが原因で発症するともいわれ、主に環境の変化が引き金です。過労や離婚などのほか、結婚や出産、昇進などの一般的には良いこととされていることでも、その変化がストレスとなり発症に関わることがあります。加えて自分はストレスを感じないという人ほど要注意で、知らず知らずのうちに蓄積したものが突如、頭角をあらわし、発症することもあるほどです。そして、ストレスがかかりすぎているときよりも、ひと段落してほっとしたときに発症しやすく、喪失体験が原因となっていることもあります。さらに、うつ病の診断は専門家であっても難しいものなので、自分で病気の有無や重症度を判別したりせずに、心配な症状があれば、医療機関を受診することが大事になります。うつ病の生涯有病率は15パーセント程度とされていますので、自分、あるいは身近な人が発症してもなんら不思議なことではありません。また、本人が精神的に衰弱してしまう病気であると同時に、家族や友人、会社の同僚など周囲の人は原因がわからずにどのように対応したらいいのか悩む病気でもありますので、本人を含めきちんと病気に向き合えるだけの正しい知識を持つことが大事です。